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【完全公開!!】軸が定まり人が集まる理念のつくり方(3)理念のつくり方

目次

こんにちは、「挑戦者の翻訳者」として事業家のあふれる想いを、理念・社名・商品名などのコピーライティングしている大野幸子(@rinengirl)です。
(1)理念とは、(2)理念をつくる効果についてお伝えしてきたこの記事も、やっと(3)理念のつくり方までたどり着きました!(ここまでの文字数は2万字超!お付き合いくださり、本当にありがとうございます!)

ラストとなる今回は、今までの内容を踏まえながら「理念のつくり方」についてお伝えしていきます!
ここまで読んで実践いただければ、この一連の記事の目標としている「使える理念とは何かを理解し、まずは自分一人でつくれる状態になる」を達成できると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください^^

理念をつくるタイミング

実際のつくり方に入る前に、一つ確認をしておきましょう。それは「理念をつくる/つくり直すタイミング」についてです。人によっては「理念って変えてもいいんですか?」という質問をお持ちの方もいらっしゃいますが、私自身としては「全然変えてOK」というスタンスです。
設定してみたものの、事業を進めていく中で理解が深まること、社員が増えていく中で調整しないといけない表現など、ステージによって見えるものが変化していくからです。そうであるにも関わらず「以前の理念に固執」してしまうと、時代に合わない使えない理念になる弊害が大きくなってしまいます。

では、つくる/つくり直すタイミングの目安についてお伝えします。

つくりたくなったら

一番大事なのは、「つくりたくなったら」ということです。こういった自分の意志でつくらない理念づくりは残念ながらあまり良い結果を生みません。「経営には理念が必要と言われたから(仕方なくつくる)」という場合、何か言葉ができたとしても、誰の心に響かないものになることが多いです。きっかけが「人に言われたから」だったとしても、つくる理由やタイミングに納得してからつくることをおすすめします。

つくり直すタイミング

以下の3つの状態になった時には、つくり直すタイミングが来ているいえます。(しかし、つくり直すタイミングだとしても、つくることに納得していなければ、つくらないことがおすすめです)

①  理念を見てもなんだかしっくりこなくなったら
② 人に言う回数が減ってきたら
③ 理念について聞かれると「あ、いや、結構前につくったものなので・・・」となったら

①は、理念のつくり方(1)でお伝えした「理念をみるたびにグッとくるか」の逆ですね。あなた自身が何かピンとこなくなっているとしたら、それは暗に周りにも伝わっていきますし、社員やパートナーとのテンションも合わなくなっていくかもしれません。その感覚は、大事な「つくり直し」の時期だと言えます。

②と③は、ほぼ同じ状況について言っています。「グッとこなくなっている」ことはもちろんですが、本来的に想いのある使える理念は周りに「言いたくなる」もののはず。「そういえば最近誰にも話していない」、「なんなら思い出せない」というのはつくり直しのタイミングと言えます。

どうも採用がうまくいかないとき

前の理念をつくる効果でもお伝えした通り、使える理念であれば「人が集まる」ものになっているはず。採用においても、理念は大きな力を発揮してくれるはずです。経営者のみなさん、人事のみなさんは「優秀な人材が欲しい」とお考えかと思いますが、私の肌感としては優秀な人材こそ理念にひかれて入社したり、就活をしている印象を受けます(新卒、中途問わず、その傾向がみられます)。

採用がうまくいかない、いかないと言いながら、最上位概念である理念が手付かずになっていることもしばしば・・・。理念は全ての戦略の大前提な訳ですから、ここがおざなりになっていては、下の施策をちょこちょこといじったとしても徒労に終わりがちです。

理念は「網」ではなく、「銛(もり)」であれ!!

ここで、すごく大事なことを思い出して書きます(このシリーズの一番最初の方で書くべきだったかもしれない)

みなさん理念をつくる際に「尖らせる」ことを怖がる方がいらっしゃいます(それがほとんどかもしれません)。「こう言っちゃうと、〇〇なお客様/採用候補がこないかもしれない」、「うちの会社はいろんなことができるのに、これだけの会社だと思われてしまうかもしれない」。といって、どんどん範囲を広げて行った結果、誰の心にも刺さらない、うっす〜い理念が出来上がっていませんか?それでは、なんのための理念でしょうか?そんなんで、この時代に果たして差別化できるのでしょうか??

本当の大企業だったらいざ知らず(多くの人に受け入れてもらう必要がある)、中小企業が同じことをやってしまえば「その他大勢」で印象は終わりです。箸にも棒にもひっかからず、ぼやっとした採用候補、ぼやっとしたお客様しかやってこず、「ファン化」なんて夢のまた夢。こまこま施策打ったりする前に、キーコンセプトである理念を際立てましょう。

イメージは、漁師さんが使う「銛(もり)」です。「君だ!」という人に対してひとおもいに突けるような理念が私は理想だと思いますし、それくらい狙いを定めて突かれた方が、突かれる方も本望です。(相思相愛じゃなければ、突かれた方も反応はしないですしね)
しかし、多くの理念が「網」漁になっています。特に狙いを定めずにガーっと取ろうと思って魚がとれなかったり、とれても意向に添わない魚ばかりだったり・・・。これではお互いにハッピーになれません。

理念はリトマス試験紙であるべきです。理念に触れた時に、陰性か陽生かそれが瞬時にわかる、そんな理念にしましょう。そっちの方がミスマッチもなくおすすめです。

理念は「濃縮還元」

あるお客様が、理念づくりの後にうまいことをおっしゃってくださいました。理念づくりとは、「濃縮還元」であると。
つまり、短い言葉にしていく過程で、どんどんとエッセンスを煮詰めていき、濃縮していくんですね。そうして濃縮しきった原液なんなら粉末が理念となる。そこまで濃縮しきっていれば、たとえそれを水で薄めたとしてもしっかりとコアの伝わるものとなります。

ぜひ、尖らせ、濃縮しきり、本当に出会いたい人と出会えるリトマス試験紙であり銛として、理念を育てましょう。

理念をつくるワークシートを公開!

さて、理念を怖がらずに尖らせましょう!という心構えをお伝えした上で、実際の理念のつくり方をご紹介していきます。ここではワークシートを用いて、理念づくりを進めていきたいと思います。

ワークシートのダウンロードはこちらから

画像ver.も載せておきますね

ワークシート活用手順

①「想い」「社会性」「対象」「手段」を記入

理念のつくり方(1)に書いてあった、「理念の構成要素」に書いてあったことを踏まえて、それぞれの項目を書き出します。

② ①で書いた内容を踏まえ、理念をつくってみる

「想い」〜「手段」まで記入してみると、「自分ってこういうことを考えていたんだ!」とか「そう言えば、こういうことを考えて事業を始めたなぁ」ということが、キーワードだったり言い回しとして浮かんでくることが多いです、以上の内容を踏まえて「( 対象 )を( 手段 )によって( 社会性 )にする」という構文で一度つくってみましょう(必ずしも、この構文を使う必要はありませんが、特にない方はこれでつくってみてください。「てにをは」の部分は自由に調整いただいてOKです)

③シートの右側の問いに答える

ここまでお伝えしてきた通り、理念は「経営」「販売/営業」「採用」「教育」「パートナー開拓」「ブランディング」など、事業のあらゆるフェーズで使える最強のビジネスツールです。もちろん「使える理念」であればそれら全てに通じるものとなりますが、つくる際には目的や優先順位が分かっていないと、曖昧なものになりがちです。よって、理念をつくる目的を改めて明確にするために、シートの右側にご記入いただきます。

● どうして理念を作りたいのか

理念をつくる目的は、会社の状況やステージによって様々です。選択肢から選んで優先順位をつけ、その理由も書いてみましょう。

● つくったものをどのような場所 / 場面で活用するのか

目的に応じて、理念を使う場所も様々かと思います。細かい話ではありますが、口頭(自己紹介や唱和など)で伝えることが多い場合は同音異義語(「共創」と「競争」など)は避けた方が良いかもしれません。

「誰に対して、どんな場面で、どんな効果を狙った理念をつくるのか」

ということを目的に合わせて考えましょう。そのために、この質問を設定してます。

● 受け手に、どのような印象を与えたいのか

これも、理念をつくる上で非常に大事な観点となります。目的に合った言葉をつくっていただくために必要なのですが、ここで重要なのも「誰に」ということであり、その方々に何を感じて欲しいのか、どんな反応をして欲しいのかを考えていただくセクションです。

・「形容詞的」印象
まずはシンプルに、どんな風に感じて欲しいか、です。「誠実な感じ」、「かっこいい感じ」、「面白そうで何かをやってくれそうな感じ」、「柔らかくて優しい感じ」など、その会社の事業や方向性、社風や社長の人柄などを踏まえて、「どう感じてくれると丸なのか」ということを、形容詞で考えてみましょう。

以前、あるお客様の社名をつくった際にこの質問をしたところ「あったかスタイリッシュ!」という言葉が出たことがありました。そういう基準があると、「この社名は、あったかスタイリッシュになっているだろうか?」という判断基準になりますよね。もちろん、形容詞自体曖昧なものではありますが、理念という言葉で感性にうったえかけるという性質を持ったものには、こういった基準が欠かせないと考えています。

形容詞は一つに絞る必要はありません。目的に応じて「誰」が複数いる場合もあると思いますので、いくつか出しておきましょう。その際「なぜこう感じて欲しいのか」という理由もつけておくことがおすすめです。逆に、理由を考えられないものは優先順位が低かったり思いつきかもしれないので、除外しておいても良いでしょう。

・「なんと言って欲しいか」
この基準も、シンプルで奥が深い質問です。目的を明確にしただけでは、やはりまだ基準が曖昧。その理念をみた時に、対象となる人に「なんと言って欲しいのか」あるいは「どんなことが心の中で起きて欲しいのか」というところまで詰めましょう。これを考えて理念をつくることで、グンと理念の「使える度」がアップします。

過去にお客様に聞いた事例でいうと

「見込み顧客の人が見た時に、『自分が求めていたものはまさにこれだった!』と思って欲しい」
「既存のお客様が見た時に、『本当に貴社らしい理念ですね』と言ってほしい」
「社員が見た時に『社長が今までやってきたことが全てつながりました』と言って欲しい」
「提携パートナーが見た時に『あ、それだったら、●●の事業も一緒にできそうですね!』と言って可能性が広がると嬉しい」

など、非常に具体的な事例がたくさん出てきました。この「実際になんと言って欲しいのか」も、対象ごとに出してみることがおすすめです。確かに、実際に理念をつくっていく際には、対象が複数の場合にどうやって調整するのか・・・。といった問題はまた別途出てきますが、抜け漏れのない理念にするために非常に大事なフェーズとなります。

● 文字数の好みはあるのか?

ここまで右側で答えてきた理念をつくる目的も踏まえて文字数を考えてみてください。短い理念はキャッチーで洗練された感じになりますが、スタイリッシュ過ぎたり伝わらないことがあるかもしれません。長い理念は少々野暮ったくみえることもあるかもしれないですが、誠実な印象を与えます。また、名刺で使うことがメインの場合は、あまり長いものは書けないかもしれません。
そういった実務的なことを踏まえつつ、最後は「好み」があれば、それも採用しながらつくってみてください。
やはり、ご自身でテンションが上がらない理念は自然と言わなくなってしまいます。ゆえに、私は自分の「好み」も大事にして欲しいと考えています。

④ 理念を再度ブラッシュアップ!

以上の内容を踏まえながら理念をブラッシュアップしていきましょう。ここからは、少々センスやテクニックがいるフェーズでもありますが、言葉をかっこよくするのは二の次。変にかっこつけて伝わらない理念よりも、共通理解が得られるものを目指しましょう。

ここではよくある質問として「言葉の削り方」をご紹介します。

理念のつくり方(1)でお伝えした通り、「想い」は直接理念に入ることがないので、他の3つの要素で考えます。削るか、残すかについてはその項目に対する想いの強さで考えましょう。

例えば、私のやっているココロイキの理念は「挑戦者に言葉を」ですが、考えてみてください、「対象」と「手段」しか入っていません。社会性というのは別途「ココロでイキる世界へ」というビジョンがあるので、ここでは割愛しています。これは少し特殊な例ではありますが、私の想いとしては「対象=挑戦者」と「手段=言葉」ということへの想いが強かったので、このような形で残し、社会性は削っています。逆に、あまり想いがこもってもいない項目を入れると、全体が薄まります。ので、あまり思い入れのない項目については思い切って削ったり、非常に短い表現にすることで、グッとしまった理念になります。ぜひブラッシュアップする際の参考にしてみてください。

理念とビジョンは両方必要?!

ここで、自分の理念を引き合いに出したことで、重要なことを思い出しました!「理念とビジョンって両方必要なの?」という事項です。これを迷われたり、それこそ言葉の定義に翻弄されている方も多いことと思います。

私の意見としては、「必ずしも両方必要ではありません!」です。前提として、今世の中で「理念」と「ビジョン」あるいは「ミッション」みたいな言葉の使い方は明確ではありません。そんなことより大事なのは「それは経営に使える言葉なのか」ということ。経営に使える言葉であれば、それが理念だろうがビジョンだろうか、呼び名なんてなんでも良いと思っています。

で、私がお伝えしてきた理念の構成要素を見てみると、一般的にはビジョンと呼ばれているような要素が入っていることにお気づきの方もいらっしゃるかと思います。主に「社会性」の部分ですよね。逆にいうと、私の理念では、ビジョンっぽいものも入れ込んでいます。なぜなら、「経営に使える言葉」を考えたときに「会社の目指す方向性や実現したい世界観」を入れることの重要性がかなり高いからです。便宜上私はここまで「理念」という言葉を使ってきましたが、別にそれを「ビジョン」という言葉に変えても、あまり差し障りはないと感じています。これは理念なの?ビジョンなの?という議論よりも、何のために、どんな言葉/概念をつくるのか、の方が100倍大事だと感じていて、その観点から書いています。(よって、理念の定義についてしていません)

だから、出来あがった理念に、ビジョンのような「社会性」が入っていれば、理念一つで問題ないですし、それをビジョンと呼んでも問題ないと思います。逆に私のように理念の中に社会性が入っていない場合は、別途ビジョンという形で社会性を取り出してもOKだと思います。

私自身がこのように分けている裏話としては、起業当初は「社会性」に対する意識が低く、そこに対する想いがなかったので、変にとり繕って薄まるよりも「濃さ」を優先しました。活動を続けていく中で、社名の「ココロイキ」には、私のビジョンや願いが表れていたことを感じてゆき、改めてビジョンとして掲げた、というものがあります。その二つを一つの文章にすることも考えたのですが、テクニック的な部分で、「短い方が強さが宿る」ように感じたので、別々にしている、そんな事情になります。(なかなか、こんな内情って世には出ないですよね、それがまた理念づくりを難しくしているように感じています・・・)

っということで、理念のつくり方でした!

理念づくりの落とし穴

ここまで読んでいただけると、理念をまずは自分でつくってみる。という目標は達成できると思います。ここでは、理念づくりを進める中で感じている「落とし穴」がありますので、それについても事前にお伝えしておきたいと思います。

落とし穴① 内面の深掘りが弱い

ここまでのプロセスを真剣にやってくだされば、この落とし穴にはまりにくいとは思いますが、世の理念の多くは、この落とし穴にはまっていると思います。経営理念というものの、小さな会社であれば理念とは「社長の強烈な自分理念」です。そうであるにも関わらず、「社員のこと」「お客様のこと」「社会のこと」を考えているうちに、肝心の自分が不在になっていることがあります。なぜ自分はその理念をしたいのか、自分の過去や未来にどんな繋がりがあるのか、その辺りをしっかりと掘り下げておかないと、薄っぺらく、どこの会社にすげ変えても差し支えのないような理念になってしまいます。
変に、自己分析の沼にはまり込みすぎてしまうのは考えものですが、このフェーズを決しておろそかにしないでください。

落とし穴② 社会性の抽象度合いの設定が弱い

この落とし穴は、正直、言うは易く行うは難しで、かつ実はひじょーーーーに大事なところです。(こんな、「落とし穴」の項目で伝えてはいけないんじゃないかと思います)

これはどういうことかと言うと、「社会性」の設定って非常に難しいんですね。抽象度を上げるのは簡単で「世界平和」とか「人々の幸せ」とか言ってしまえば、どんな事業も最終目的はそこにつながっていく訳で、まぁ言えてしまう。「理念を変えてはいけない」と思っていると、すぐに達成するものもいけない気がして抽象度は高くなりがち。すると、どこにでもあるような言葉「幸せ・笑顔・健康」みたいな言葉に終始して、誰の心にも響かなくなってしまう・・・。(これらの言葉を使ってはいけない訳ではありません、実際に私も使っています。ただ、抽象度を注意して設定する必要がある)

ではどうすればいいのか?
私自身、理念を変えることに賛成です。であるならば、社会性にレベルをつけてみて、「世界平和」や「人々の幸せ」がレベルMAXだとした場合に「今グッとくるレベルはどれくらいか」について考えてみてください。レベルMAXに対して、レベル2くらいがグッとくるのであれば、それで設定しましょう。それでもしそこを達成したときに、次のレベルを考えてみるのではいかがでしょうか。理念は変わってもいい、ということを前提に、一番グッとくるレベルの社会性を設定することがおすすめです。

と、同時に、「理念が未来の事業を縛ってはいけない」という私の持論もあります。社会性のレベルをあまり下げ過ぎて設定してしまうと、何か新規事業をした際に、「これは理念を逸脱してしまう」ことがある。その際には、理念をつくるあるいは別会社にするという手ももちろんあるのですが、そう頻繁にやる訳にもいかないですよね。だからその塩梅がまさに非常に難しく、だからこそ他人の目が入るべきところではあるのですが、グッとくるレベルと、未来の事業をむやみに縛らない。そういった観点から、社会性の抽象度を設定するようにしてください。ただ、まさにそれこそが理念づくりで一番難しいところでもあるんですけどね・・・(汗)
ただ、これを知っておくのと知らないのではかなり差が出るので、お伝えさせていただきました。

落とし穴③ やりたいこと=職業で考えない

最後の落とし穴については、会社の理念というよりももっと個人の理念に関わるお話になります。自分探しをする際にも、これは非常に重要な観点ですので、ぜひ参考にしてみてください。

具体例を一つ出します。私が理念をつくったお客様で、こんなキャリアを歩んできた方がいらっしゃいました。

新卒で入った会社は画廊、続いて胡蝶蘭農家、震災が起きた際にはそこで支援を2年、6年前にシステム開発会社を起業・・・。20年以上かけてこういったキャリアを歩んできた方の話を聞いた際、みなさんには「全然軸がない人」に見えませんか?実際ある人事部の方にこのキャリアを話したところ「私だったら、履歴書の時点で落としますね」との答えでした。(無理もないかな)

しかし、理念づくりをしていく中で、そこには一本の確かな確かな線があることが分かりました。

それは「自分に裁量権がある環境下の中で、あまたの選択肢の中から仕組みをつくり、その状態が継続していく状態をつくる」という価値観でした。

話を聞いていくと、画廊も花農家も、自分の裁量で思う存分企画展を実施するのが非常に楽しかったそうです。震災のときなどはその最たるもので、何もないカオスな状態。手さえあげれば、裁量は無限大。そんな状況下の中で彼は、どの場所にどんな資源(人手や物資)があり、それをどんな風に配分すれば現場が回るのか。またそれをどんな仕組みにすれば、永続的な状況をつくれるのか、についてひたすら走り回ったそうです。そして、その経験を踏まえて、永続的な仕組みをつくる非常に優秀な仕組みとしてシステムに可能性を感じ、彼は40代に入ってプログラミングを学び、起業したのでした。現在は、もはや現場の実際に手を動かす作業からははなれ、ビジネスプロデューサーよろしく、ビジネスモデルの設計や事業提携に飛び回っています。

彼は自分でおっしゃっていました「アンバランスな環境の上に、バランスをつくることが好き」だと。これが、キャリアを貫いてきた、一つの大きな軸でした。これを「職業」という観点からみると見えませんが、そこにあった自分の価値観について考えていくと、しっかりとした軸ができます。

この理念づくりワークシートを使っても、特に「想い」い部分について書けない方も多くいらっしゃると思います。そんな方におすすめなのは、今まで選択してきたキャリアの一つ一つに対して、「なぜその仕事を選んだのか」「なぜその仕事を続けたのか」「なぜその仕事を辞めたのか」について紐といていってみてください。

これは私の持論なのですが、理念やビジョンをつくる際に大事なのは、「未来よりも過去」です。未来のやりたいことは非常に不確実で不安定、ときによく分からなくなります。しかし、過去は違います。もちろん、解釈の仕方によって過去とは非常に柔軟なものではありますが、過去に美容師をやっていたのに、それが教師だった、とはなりませんよね。未来よりもっともっと確実なものが過去ですので、価値観を見つける際には、ぜひ過去の選択について紐といていってみてください。

理念づくりの相手を選ぶ

さて、本当に長い道のりでしたが、ここまでくればもう「理念をまずは一人でつくってみる」ところまで進めると思います。これで完成する方もいらっしゃると思いますが、大いに結構!(むしろそうなったら本望)ですが、私のおすすめは、この状態で他者からのフィードバックをもらうことです。
私自身、タイミングタイミングで本当に多くの方からフィードバックをもらい、その都度人生で大きな発見をしたり、進路変更をしてきた人生でした。いまだに分からないことはすぐに人に聞きますし、コンサルを受けている回数や量はかなり多い人種の部類に入ると思います。

(こういう仕事をしているから意外と言われますが、自分のことは自分では分かりません。それにこの仕事をすればするほど、自分一人で見つける難しさが身に染みます(笑)クライアント体験も非常に重要なので、むしろ積極的に受けることを自分に科していると言っても過言ではありません)

ただ、この状態でむやみやたらに人に聞いてしまうと、中には「ドリームクラッシャー」のような人がいて、勝手にあなたの自信を壊してしまうかもしれません。決してそんな自体には陥ってほしくないですし、ぜひ最良の相手からフィードバックを受けて欲しいので、相手の選び方についてお伝えします。
ぜひ、このような条件を満たす方からフィードバックを受けるようにしてください。

自分の考えをむやみに押し付けてこない

これの逆をやってくる方が本当に多いですよね。「想いは良いけど、それでどうやってお金を稼ぐの?キャシュッポイントは?」とか「そのビジネスモデルだと弱いね」と、心配してくれる気持ちは嬉しいのですが、そんな風に言われると、理念づくりは萎えてしまいます。事業のことを相談する際にはこういった方にアドバイスを仰ぐのはベストかもしれないですが、理念づくりのフィードバック相手としてはおすすめしません。それでも、非常に口出ししてきやすい方からアドバイスが欲しい場合は、「今日はまずは話を聞いて欲しい」こと「想いの部分についてのフィードバックが欲しく、事業戦略についてはまた次回お願いしたいこと」を伝えて話すようにしてみてください。

同じレベルで考えてくれる

経営者さんと話していると、こういう相手を見つけることが本当に難しいことを痛感します。役員に相談しても「社長がいいならいんじゃないですか」と言われる。先輩経営者や、同級生の経営者に聞いても、なかなか本気で取り合ってもらえない。そういうことがよく起こっているみたいです。見つけるのは難しかった場合も、「もし自分だったらどうなのか」というレベルで聞いて欲しいことを伝えてみてください。

様々な視点(質問力)を持っている

理念は、多くの立場の人の目に触れるものですから、完成する前に、多くの人の視点を入れておきたいですよね。ただ聞いてくれるだけでもありがたいですが、やはり適切に突っ込んで欲しいもの。傾聴力に加えて、質問力の高い人だと最高ですよね。なかなか一人で視点や質問力を担保するのも難しいことがあるかと思います。その場合は、一人に限らず、複数の方にフィードバックをもらってみてください。

自分の燃料を切らさない

ここまで、何度か述べてきたことではありますが、大事なことなので、改めてお伝えしておきます。私は理念づくりをする際に「それはあなたのどんな『欲求』を満たすんですか?」という視点を、常に大事にしています。想いあって起業した方の中には、自分のことを差し置いて、社会、社員、お客様のことを考えている素敵な社長がたくさんいます。しかし、私はそういった方にあえて問いたいのです、その事業を通じてあなたが得たいものは何ですか?と。
その得たいものが「モテたい」や「とにかく稼ぎたい」など、なんでも構いません。かっこつけていない、自分の欲求がご自身の活動の燃料になりますし、それはイコール会社の生命線でもあります。社長に対してエネルギーを注いでくれるものは、残念ながら多くはありません。自分の燃料を自分で注ぎ、自分で燃やさなければならない。それが社長という存在に科されている大きな仕事です。理念という形になったときには、そういった欲求はオブラートに包んで、もっとかっこいい言葉にしていい。しかし、社長自身は、そうしてその事業をやるのかについて、飾らない、自分に嘘のないものを持っていてほしい。だから私は理念づくりをしながらずっとそこにフォーカスしているし、それが自分の信条である「社長を幸せにする理念」を掲げるゆえんでもあります。(もちろん、社長に限らず対象は「挑戦者」なのですが、得てして社長に挑戦者が多い、という状況です)

ぜひ、周囲の幸せについても考慮しつつ、まずは自分自身の幸せを定義する。理念づくりという営みが、そんな機会になったのなら幸いです。

【最後に】私が売っているもの

ここまでお付き合いいただき、本当にお疲れ様でした&ありがとうございました!この記事は、私がこれまで得た知見の全てを注ぎ込むつもりで書いた渾身の記事です。みなさんが挑戦を続けていく上で、何かお役に立てたのなら、こんなに嬉しいことはありません。ここでは、本当に最後として、「私が売っているもの」についてお伝えしつつ、終わっていきたいと思います。

私が売っているものそれは「人生最大の承認」というものを目指しています。成果としてお渡しするものは、「言葉」かもしれませんが、理念をお渡しするとお客様から「生きてきて良かった」とか「何も間違っていなかった」という言葉を聞くことがあります。「経営者は孤独」と言いますが、まさにその通り。彼らはこの正解がない時代において、自分というものを信じながら、だけど時に自分を信じられない絶望を味わいながら前に進もうとしています。そういった方達に対して理念づくりという営みを通じて彼らの人生を肯定し、最大限の承認を渡していく。その結果として理念を「揺るぎない心の拠り所」としてお渡しすることが私の使命だと感じています。詳細については自己紹介に描いたので、もしご興味のある方がいらっしゃいましたらご覧下さい。

また同時に、理念よりもっと手前にはその人の「生きる意味」があることと、それと理念の関係性がどうなっているのかが、私の中で明らかになってきました。実際にお会いできる方はもちろん、お会いできない方にも何か渡せる承認がないかと想い、この度メディアを立ち上げました。このメディアの理念は「生きる意味の多様性を伝え、多くの『生きる』を肯定する」というものです。もしご興味がありましたら、このメディアに込めた想いもご覧下さい。

っという訳で、一見すると言葉が商品に見える私にも、その奥底には様々な想いや願いを持って活動しています。理念づくりを行う中で、ぜひみなさんのその美しい想いが世に出て、多くの人に伝播していくこと。その輪が広がっていくことが、私が掲げている「ココロでイキる世界へ」というビジョンにつながっていきます。ぜひお一人お一人が、今まで以上に自分を大切にし、周りの方に渡していける社会となりますように。そんな願いをお伝えしつつ、この筆を置きたいと思います。ここまでお読みくださり、本当にありがとうございました。ぜひこの記事を参考に、理念をつくってみてくださいね!

本当に最後となりますが、初回限定の個別相談セッションを載せておきます。このセッションでは、ワークシートの添削なども承っています。お伝えできることが、精一杯お伝えしたつもりですが、どうしてもその方の状況に合わせた個別具体のケース、考え方があります。必要なタイミングがありましたら、お申し込みいただけると嬉しいです。(オンラインでも実施しますので、全国どこからでも大丈夫です)

ぜひみなさんの理念づくりが、そして人生がより良いものとなりますように。

挑戦者の翻訳者
大野 幸子

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筆者プロフィール

大野 幸子(おおの ゆきこ)
ココロイキ 代表 / 挑戦者の翻訳者

理念コピーライター。「挑戦者の翻訳者」 として、事業家のあふれる想いを、理念・ビジョン / 社名 / 商品名として言語化。 言葉で軸を定めるプロ。2年で58社の制作実績。「 人生の美しいものを表現し尽くす」をミッションとし、人が事業にかける想い=理念は人生における最も美しいものの一つとして、尊敬を胸に表現し続けている。

生きる意味を深掘りするインタビューメディア「挑戦者のココロイキ 」編集長

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